いよいよ間取りの組立てがイメージできるようになったら、次は住まいの中における人(や物)の 移動経路、すなわち動線について考えてみましょう。毎日の生活において、いかにスムーズに行き来ができるかという、大切なポイントです。
たとえば…
お料理をしながら同時に洗濯機も回す、というのはよくあること。そのような場合、キッ チンと洗濯機置場が離れた場所に配置されていたら、考えただけでも不便ですね。また、洗濯機から勝手口や干し場への距離もできるだけ短い ほうがいいでしょう。大きくて重い洗濯カゴを抱えて、長い距離を行ったり来たりすることが毎日では、とても大変ですよね。
それから…
日に何度も移動がある部分については、より短い動線で行き来できるようにしたいもの。 それぞれの居室、特にお年寄りの寝室などからトイレまでの移動が、不便を感じるものではいけません。場合によっては身体にたいへんな負担 をかけることにもなってしまいます。
このように、人の動きや効率を考えて目的の場所を近づ ける工夫を、部屋の配置から家具や設備まで含めて考えることが大切なのです。「タテ」の動線にも充分配慮し、上下階への移動も楽 にできるようにしましょう。
ところで、動線には‘種類’があるということはご存知でしょうか?主 なものとしては次の3つ。炊事や洗濯、掃除などの「家事動線」、ご家族が居室間やトイレ、お風呂などへ移動する「生活動線」、そしてお客 様が移動する「来客動線」です。
暮らしやすさを考えたら、種類の違う動線がなるべく交 わらないことが大事。特に「来客動線」が他の動線と交差しないようにすることは、ご家族のプライバシーを考える上でも大切なこと なのです。
たとえば…
玄関から客間(リビング)などへ行き来する動線上に、浴室や洗面所など家族ための空間 を配置しないほうがよいでしょう。来客中は使いづらくなってしまいますし、出入りのタイミングを誤ると、お互いに気まずい思いをしてしま いますものね。
家の中の移動は毎日のことですから、動線の設定を間違えると大きなストレスのもとにな りかねません。そのようなことが起らないように、まずは間取り図をじっくりながめてみましょう。そして、 頭の中で移動のシミュレーションをしてみる。そうすれば、暮らしやすい住まいの動線がきっと見えてきますよ。